祖母が退院し、グループホームに再びあずけた後、1度私と私の母は兵庫県に帰りました。
ずっと祖母のそばにいれたらいいのですが、兵庫県での生活もあり、これからは月に1度祖母のいる宮崎県に帰り(私は2週間、母は1週間ほど滞在します)、祖母の様子を見にいくことになります。
被害妄想が少しマシになった状態で退院した祖母ですが、やはり徐々にですが入院前の祖母の状態に戻りつつあるようでした。
祖母は被害妄想の他にも軽い「うつ病」のような症状がでていたので、物事を悪く考えてしまい不安に思うことが多々ありました。
例えば、誰でも少し体に負担がかかる運動をすると、心臓がバクバクなることがありますよね?階段を登ったり、小走りした時などは。
でもたとえ心臓がバクバクしたとしても心臓病だとは考えませんよね?
運動したことにより、心臓がバクバクしているだけだということを私達は理解することができます。
しかし、認知症と被害妄想、また軽い「うつ病」の症状がでている祖母はそのようには考えることができません。
祖母は足が悪いため、普段は寝ているか、椅子に座っているかなのですが、時には自分で少し動いたりすることがあります。
トイレをしたい時は、ベッドの横に置いている簡易トイレでするのですが、その際は自分で手すりなどを伝って移動します。
歩数で言えば2、3歩だと思うのですが、その移動だけでも祖母にとっては階段を登るぐらいの負担になってしまいます。
そうなると、当然、心臓はバクバクと音をたてることになるのですが、祖母はそれを心臓病だと勘違いしてしまいます。
「心臓が苦しいから病院に連れて行って!」と訴え、こちらがいくら大丈夫だと言っても聞く耳を持ちません。
そして病院に連れていかなければ、連れていってくれないことに不満を感じてしまいます。
(もちろん、ホームのスタッフの方は少し安静していれば心臓のバクバクは落ち着くと知っているので病院には連れていきません。)
そうなると、どうなるかというとグループホームに不信感を持ってしまいます。
一度不信感をもってしまうと、被害妄想も起こりやすくなってしまいます。
入院していた時はすでに病院にいるので、安心感からあまりひつこく言うことも、機嫌が悪くなることもなくなってきていたのですが、グループホームに戻ってからはそういったことが再びおこるようになっていました。
(認知症になって以来、ずっとこの心臓に関しては勘違いがなおりません。)
そして、グループホームに再入居してから10日ほどたった頃、私の母のもとに祖母から電話がかかってきます。
ホームのスタッフ:「お世話になっております。グループホームの〇〇です。」
私の母:「お世話になっております。母になにかありましたでしょうか?」
ホームのスタッフ:「いえ、特に変わりはないのですが、〇〇さん(祖母)が電話をかけてとおっしゃっていまして。」
私の母:「そうですか。無理言ってすいません。」
ホームのスタッフ:「いえいえ、それでは電話をかわりますね。」
祖母:「みっちゃん、いまどこね?」
私の母:「おかあさん?今は兵庫県よ。」
祖母:「わたしゃ、家に帰るからね!もうここはさんざんじゃ!」
私の母:「なんでよ?」
祖母:「心臓が苦しいのに病院にも連れていかん!」
私の母:「今は苦しくないやろ?」
祖母:「・・・。とにかく、わたしゃ家に帰るよ!」
私の母:「家に帰っても誰もいないよ。1人じゃ生活できないやろ?」
祖母:「できる!昔は1人で暮らせてた!」
私の母:「今は足が悪くて、1人でご飯が作れないやろ?」
祖母:「できる!家に帰って歩く稽古をすればすぐに歩けるようになるはずじゃ。」
私の母:「(あ〜、またはじまった。)」
入院する前は、祖母に携帯電話を持たせていたので、毎日のようにこのような電話がかかってきていました。
退院してからは被害妄想が少しはマシになっていたので「大丈夫かな。」と思っていたのですが、祖母の我慢の限界がきたようで、スタッフの方に「電話をかけて!」とひつこく頼んだようです。
こうなると何を言っても祖母は「家に帰る!」と言い続けるので、この時は「もうすぐ私がホームに行くからそれまで待っておいて」と説得することで祖母を落ち着かせることができました。
入院以前のように、私の母に対して文句を言うことはありませんでしたが、それでもだいぶ入院前の被害妄想が酷かった時の状態に戻ってきているようでした。
そしてこの後、祖母に会いに行った時には、入院前のような被害妄想が酷かった頃に戻っていることを知ることになります。
ではその時の様子はまた次回に。