祖母の家にホームヘルパーさんに来ていただくようになって３ヶ月ほどたった時のことです。

不満を言うこともありましたが、機嫌の良い時には、ヘルパーさんと会話を楽しんだり、「いつもお世話になっているから」と言って、庭に生える竹の子を持って帰ってもらったりと、ヘルパーさんとの関係もうまくいっているようでした。

しかし私達家族は、祖母の被害妄想が気がかりでした。

以前、祖母は自分の娘である私の母に、通帳を盗られたと思い込んだり、妹にお金を盗られたと勘違いすることがありました。

認知症が進むにつれて、被害妄想も酷くなっていったため、いつかヘルパーさんに物を盗られたと言い出すのではないのかと心配していました。

そしてついに心配が現実のものとなってしまいます。

調味料を盗られる(物盗られ妄想)

祖母はレビー小体型認知症の症状の１つであるパーキンソン病の症状の影響で足が悪くなっていました。
そのため、ゴミ出しが難しく、私や母が祖母の介護のために帰省するまでの１人暮らしの期間は、生ゴミ以外は庭に保管してもらい、生ゴミはヘルパーさんが持って帰ってくれていました。

また祖母は認知症が少しずつ進んでいたので、記憶が曖昧なことが多く、勘違いすることが多くなっていました。

祖母は毎日お味噌汁を飲むのですが、その時「ほんだし」の顆粒だしをよく使います。

料理は私か母、私達がいない時はヘルパーさんにしてもらうので、祖母はどの程度、調味料を使っているのかがわかっていません。

また日にちの感覚なども鈍くなっていたので、何回料理をしてもらったのかということを、いまいち覚えていないため、どのくらいの調味料が必要だったのかを考えることもできません。

そのため、ある時、調味料がはいっている引き出しを見て、「ほんだし」(袋入り)が無くなっていると言い出しました。
(祖母の頭の中では「ほんだし」をたくさん買ったという記憶だけが残っているようでした。)

(電話での話です)

祖母：「ムーちゃん(私)、ほんだし(調味料)が無くなっとるよ。」

私：「え？今、何袋ある？」

祖母：「今はもう１つしかないがね。」

私：「そしたら、たぶんあってるで。オレがおばあちゃんの家におった時も、だいぶ使ったから、あと２つしかなかったで。」

私：「ヘルパーさんもその後に何回か使ってるやろうから、たぶん１つであってるで！」

祖母：「私が見た時にはもっとたくさんあったよ。ヘルパーが持って帰ったんじゃろうか？」

私：「ヘルパーさんはそんなもん持って帰らへんわ！(笑)」

祖母：「いや、あの人達は(ヘルパーさん)いつも帰る時に、ゴミが入った袋を持って帰るから、あの中に色々入れて持って帰っとるんじゃろ。」

私：「何でよ！親切に生ゴミを持って帰ってくれてるんやん。調味料ぐらい、ヘルパーさんの家にもあるわ(笑)」

祖母：「いや、テレビでヘルパーに物を盗られた人がおるって言ってたからね。」

私：「おばあちゃん家に来るヘルパーさんは、そんなことせえへんって！」

祖母：「お前は知らんかもしれんけど、田舎にはそういう人がおるんじゃよ。」

私：「(これは何を言っても聞いてくれないパターンかも・・・)」

幸いにも、祖母は「娘(私の母)に通帳を盗られた」と勘違いしたり、「妹にお金を盗られた」と勘違いした時ほどは怒っておらず、ヘルパーさんに直接「調味料盗んだじゃろ！」とは言っていませんでした。

しかしこのままの状態が続くと、どんどん被害妄想(物盗られ妄想)が激しくなっていく可能性が高いので、母が、ケアマネージャーさんに電話で相談をすることにしました。
(竹の子に関しても、自分が採っていいよと言ったのに、まるでヘルパーさんが勝手に採って帰ったかのようにも言うようになってしまったので。)

ケアマネージャーさんと相談した結果、庭に生ゴミ専用のポリバケツを用意し、祖母が１人暮らしの間はその中に生ゴミを保管してもらうことになりました。
(私か母が帰省した時に捨てることになりました。)

またヘルパーさんが祖母の家に入る時は、カバンなどを持ち込まないようにしていただけることにもなりました。

このようにすることで、何とか祖母の被害妄想(物盗られ妄想)を最小限に抑えることができました。

介護で何か悩みがある場合は、まずケアマネージャーさんに相談することをオススメします。

経験豊富なケアマネージャーさんの場合、「〜の症状がある人には、〜するほうが良い」というようにアドバイスをしてくれます。

私達家族はたくさんの人に支えられ、祖母の介護ができています。

だからこそ、祖母の介護に携わってくれる方への感謝の気持ちを忘れず、祖母とこれからも向き合っていけたらと思います。