祖母がレビー小体型認知症になって3度目の兵庫県。
これまでとは違い、祖母は、年末年始を機嫌良く過ごしてくれ、私達家族は「このままの状態が続いてくれれば」と期待と共に毎日を過ごしていました。
祖母はレビー小体型認知症になって以来、被害妄想が酷くなっていましたが、1週間ほどは被害妄想も起きず、快適に過ごしているようでした。
この時までは、家族とはいえ「人の家にお世話になっている」という感謝の心が強くでていたために不満は言いませんでしたが、1週間も泊まっていると、徐々に慣れてきてしまい、感謝の心が薄れてきてしまいます。
そうなると、感謝の心で抑えられていた被害妄想の心が、再びどんどん大きくなってしまいます。
今まで気にならなかったことも、気になるようになってしまい、宮崎での祖母の状態に戻ってしまいます。
祖母:「今朝は足が動きにくいよ」
母:「昨日は調子良かったんじゃないの?」
祖母:「いや、こっちに来てからずっと調子が悪かった。あっちにいた時は、こんなことはなかったよ!」
母:「あっちでも毎朝調子が悪いって言ってたやないの。」
祖母:「またお前は嘘を言う!お前がこんなとこ連れてくるから病気が進んだんじゃろ!」
母:「自分がこっちに来ていい?って聞いてきたんやないの!」
祖母:「わたしゃ、そげんこと言っとらん!あっちではもっとしっかり歩けたのに」
こんな感じでいつものように言い合いになってしまいます。
これぐらいならまだマシだったのですが、「ここに暮らしていたらどんどん歩けなくなる」と思い込んだ祖母は、どんどん兵庫県の私達の家で暮らすことがストレスになっていきます。
そうなると、当然被害妄想も激しくなっていき、ついに手がつけられなくなってしまいます。
祖母:「わたしゃ、いつ家に帰れるんね?」
母:「もうヘルパーさんも来てくれないんやから、1人で暮らすのは無理やよ。」
祖母:「何でね?ヘルパーさんが来なくても、1人で暮らせる!介護タクシーを呼べば買い物もできるんじゃから!」
母:「スーパーの中を1人じゃ歩かれへんやろ?」
祖母:「できる!前は1人で買い物しとったんじゃから!」
母:「今はできへんやろ。トイレに行くのがやっとやないの。」
祖母:「お前がこんなとこ連れてくるから!お前は私を歩けんようにして家で暮らさせんようにしたいんじゃろ!」
母:「何でやの、自分がヘルパーさんを疑ったせいで、ここに来なあかんようになったんやろ?」
(ヘルパーさんを怒らせた話はこちら)
祖母:「こんなとこで暮らしとったら地獄と一緒じゃ!お前みたいな鬼のようなやつは生まんければよかった!」
これを聞いていた私の父もさすがに怒ってしまい、雰囲気は最悪な状態に・・・。
私達家族もわかってはいるんです。認知症の方には怒ってはいけないことを。
でも、どうしても祖母の雰囲気にのまれてしまい、祖母とお同じような「怒り」の感情で対応してしまいます。
毎日のようにこういった言い争いが起きるので、どちらにとっても良い影響はありません。
もうこれは1度宮崎に連れて帰るしか祖母を落ち着かせる方法はありませんでした。
ただ、宮崎に連れて帰ると言っても、ヘルパーさんにはもうお願いすることができないので、祖母が自分の家でずっと暮らし続けることは難しい状態でした。
私と母が祖母の介護に行っている間は家で暮らすことはできますが、祖母が1人になってしまう時はショートステイに入ってもらわなければなりません。
しかし、1日泊まるだけでもやっとだった祖母が、果たしてショートステイに何日も泊まることができるのか?
(以前、ショートステイに泊まった時の話はこちら)
でも祖母が今までのように家で暮らしたいのなら、最低でも1週間はショートステイで泊まってもらうしかないので、説得するしかありません。
祖母は、私の母(祖母の娘)に対しては「怒り」の感情で物を言ってしまうので、説得などは孫である私の方が適任です。
(おばあちゃんというのは、孫には優しいものなので 笑)
祖母の機嫌をとりつつ(お菓子を食べさせながら 笑)、説得してみることにしました。
私:「おばあちゃん、家に帰りたいん?」
祖母:「そりゃ、帰りたいよ。ここは手すりがないから歩くのが大変じゃ。」
私:「連れては帰ってはあげれるけど、おばあちゃん1人じゃ、料理や洗濯が大変やろ?」
祖母:「またヘルパーさんにたのめば来てくれるじゃろ。」
私:「ヘルパーさんはもう来られんって言ってたで。」
祖母:「みっちゃんが(祖母の娘)勝手に断ったんじゃろ!」
(こんな感じで何でも母のせいにしてしまいます)
私:「お母さんは断ってないで。おばあちゃんがヘルパーさんにカギが盗られたって言ったからやで?」
祖母:「そうじゃ、あの人(ヘルパー)は家のカギを盗っていって!」
私:「オレはその場におらんかったから本当に盗まれたんかはわからんけど、疑ってしまったからヘルパーさんはもう来てくれなくなったんよ。」
祖母:「あんな人来んほうがマシじゃ。」
私:「でも、ヘルパーさんが来てくれへんかったら、体の不自由な人は1人暮らしをしたらあかんみたいやで?」
祖母:「そんなことあるかいね(笑)」
私:「本当やって!おばあちゃんの周りでも1人暮らししてる人はみんな元気やろ?」
祖母:「私も元気じゃよ!昔は畑仕事してたんじゃから。」
私:「今できなあかんのよ(笑)。だから宮崎に帰るんやったら、畑仕事ぐらいできな1人暮らしはもうできへんのよ。」
祖母:「私しゃ、絶対家で暮らすよ!」
私:「1人で何でもできる人じゃないと連れて帰ったらあかんって言われたんよ。」
祖母:「誰にね?」
私:「ケアマネージャーさんに。」
祖母:「あの人はそんなこと言わんよ。私が1人で暮らせるとこ見てたんじゃから。」
私:「それはヘルパーさんが来てくれてたからやって。今は法律で決まってるから、それを破ったらみんな捕まるんやで!」
祖母:「そんなことあるかいね!聞いたことないよ!」
私:「本当やって!だから、おばちゃんが1人暮らしはできへんって認めるまでは家に連れて帰らないで下さいってお願いされてるんやから。それじゃないとオレやお母さんやケアマネージャーさんが罪に問われるんやから!」
祖母:「そしたら捕まればいいがね(笑)」
私:「ようそんな酷いこと言うわ(笑)」
祖母の機嫌が悪くならないよう気をつけつつ、「1人暮らしは難しい」と印象ずけたところで、すかさず祖母がのってきそうな話を出します。
(新手の詐欺みたいですが 笑)
私:「でもケアマネージャーさんは、おばあちゃんが家で暮らす方法もあるって言ってたで。」
祖母:「どうするんね?」
私:「オレやお母さんが一緒に暮らしてる間だけやったらいいって言ってたわ。」
祖母:「そしたら、そうしたらいいね。」
私:「でも、オレやお母さんが一緒におられへん期間は、ショートステイに入らなあかんねんて。」
祖母:「あそこはカギをしめて閉じ込めるからねぇ。」
私:「それは、おばあちゃんが夜中に家に帰るって言ったからやないの(笑)、ショートステイに行くのは1週間くらいだけやで?残りの3週間はおばあちゃんの家でオレやお母さんが美味しいもん作って食べさしたるから!」
(認知症になって以来、祖母は食べ物にすごく執着を見せていたので 笑)
祖母:「う〜ん。(祖母の気持ちが揺れています)」
私:「ここにおるより、宮崎の家で暮らしたいんやろ?そしたら、ちょっとは我慢もせなあかんけど、自分の家でも暮らせるんやから、ケアマネージャーさんの言う通りしたほうがいいんじゃない?」
祖母:「う〜ん。そうじゃね。そしたらそうしようかね。」
私:「そうし!おじいちゃんは病院で寝たきりやったんやし(今は亡き祖父)、それに比べればおばあちゃんはまだ家でたくさん暮らせるんやから、まだマシやないの!」
祖母:「そうじゃ、お父さん(祖母の夫)は家に帰れんとかわいそうじゃったからね。」
何とか説得には成功し、後々、祖母が「ショートステイに行くなんて言っとらん!」と言い出さないように毎日、「家で3週間」「ショートステイで1週間」ということを繰り返し確認して過ごしました(笑)
祖母は家に帰れるという安心感からか、少しは被害妄想もマシになり、宮崎に帰る日までを過ごすことができました。
しかし、「一難去ってまた一難」という言葉があるように、また新たな問題が起きてしまいます。
それではまた次回に。