以前、どこかで書かせていただいたと思うのですが、じつは私の祖母は10人姉妹です。
昔の人は大家族が多かったようですが、それにしても10人全員が「女性」というのもあらためて考えるとすごい確率ですよね(笑)
この10人姉妹のうち、祖母の家の近所で暮らしている姉妹が4人います。
(現在、祖母は施設に入居しましたが)
今日登場するのは次女の「秋さん(仮名)」。秋さんは自分の娘(よっちゃん)と暮らしているので、私の祖母のように施設には入っていませんが、私の祖母のように被害妄想を時々おこしていたそうです。
(ちなみに私の祖母は三女で、秋さんとは2つ違いです。)
秋さんの被害妄想は、私の祖母ほど酷くはありませんでしたが、それでも娘のよっちゃんが困ってしまうことが多々あったようです。
例えば秋さんが「クワを隣の家の人に盗まれた」と言い出した時があったそうですが、よっちゃんはもちろん「そんなはずわない」と秋さんをたしなめたそうです。
が、1度思い込んでしまうとうちの祖母同様、修正がきかなかったようで、それからというもの近所の家との関係がぎくしゃくしてしまうようになったそうです。
この他にも「醤油が盗まれた」と言ったり、秋さんが足の裏が痛くて歩けないと言った時なんかは、よっちゃんが携帯用のトイレを秋さんのためにベットの横においてあげたのに、秋さんが「お前はトイレまで歩かせんようにして、私を歩けなくしたいんじゃろ」と言うこともあったようです。
さすがに娘のよっちゃんも一緒に暮らすことにストレスを感じるようになったようです。
ですがやはり長年一緒に住んでいる自分の親を施設に預けることには抵抗があったようで、何か他の解決方法はないのかと探した結果、地元にある精神病院に入院させることにしたそうです。
正直に話しますと私は精神病院に入院と聞くと「暴れたり、さわいだり、コミュニケーションができないほど症状がひどくて、手が付けられない人が入院しているイメージ」を持ってしまっていたので、秋さんが入院したと聞いたときは、そこまでする必要はあるのかな?と疑問に思っていました。
秋さんが入院したのは、祖母が施設に入る前の話で、秋さんが入院したことは祖母から聞いていました。
3ヶ月の入院だったそうですが、1ヶ月に1度は外出の許可をもらい、家に連れて帰っていたそうです。
1度、家から病院に戻る直前に秋さんが「墓参りに行ってくる」とよっちゃんに嘘をいって、うちの祖母の家に「病院に無理やり連れていかれるから、かくまって」とやってきたこともありました(笑)
結局、よっちゃんに見つけられ病院に連れ戻されましたが。
このようなエピソードもあったので、私達家族はよけいに精神病院に入院させることに偏見をもっていました。
秋さんが退院していたことは知っていましたが、うちの祖母が骨折したり、施設に入ることになったりと、ばたばたしていたので、それ以来、秋さん家族と祖母は会う機会がありませんでした。
祖母が施設に入り3ヶ月がすぎたころ、秋さんとよっちゃんが祖母の様子を見に施設に遊びにきてくれることとなり、私の母と3人で祖母に会いにいきまいた。
(この時は秋さんは退院し、家でよっちゃんと暮らしていました)
ほとんどの時間を祖母と秋さんの姉妹で話していたそうなのですが、祖母が話す内容は私の母の文句ばかりで(もちろん私の母は一緒にいます 笑)、秋さんが私の母をフォローしてくれ、祖母をたしなめてくれていたそうです。
その日は祖母の愚痴を聞き、「また遊びに来るから」と3人は帰りました。
そしてその日の夜、私の母の携帯によっちゃんから電話がかかってきました。
よっちゃん:「みっちゃん(私の母)大変やね。叔母さん(私の祖母)があんなに被害妄想が酷いとは思ってなかったわ」
私の母:「そうなんよ、私だけがいつも悪者なんよ(笑)」
よっちゃん:「ずっとみっちゃんと施設の文句ばかりやったね(笑)」
私の母:「私の息子(私)が様子を見に行ってもいつも文句ばかり言ってるみたいなんよ。」
よっちゃん:「そうなん。私の母親よりひどい状態やね。」
私の母:「秋叔母さんはしっかりしてるね!ほんとに被害妄想なの?」
よっちゃん:「それが入院してよくなったのよ!」
私の母:「え?被害妄想って治るの?うちは薬を飲んでもダメやったんよ。」
よっちゃん:「うちも最初行ってた病院はダメだったけど、入院させたらよくなったのよ!」
よっちゃん:「退院してから近所の人にも疑ったことを謝りにいって関係も良くなったし。」
私の母:「どんな治療したの?」
よっちゃん:「治療というより、飲んでいた薬を、どの薬が合うのか、合わないのかを3ヶ月かけて見直したのよ。」
私の母:「え?それだけで治ったの?」
よっちゃん:「そうよ。最初先生に診察してもらった時に『3ヶ月やな』とだけ言われて(笑)、そしたら本当によくなったのよ!」
よっちゃん:「退院する時の先生の話では、それまでに飲んでいた薬の副作用で被害妄想が酷くなったって言われたのよ。」
よっちゃん:「うちの母は叔母さんとちがって認知症からくる被害妄想ではないから一緒じゃないかもしれないけど、いちど〇〇病院に入院させてしっかり見てもらうのもいいかもしれないで?」
私の母:「そうやね。うちの母も被害妄想さえなくなれば、だいぶ穏やかに過ごせるやろうし。」
よっちゃん:「精神病院の入院っていってもほとんど普通の病院に入院するのと一緒やったよ。部屋も綺麗で、暴れたり、叫んだりする人もいなかったし。」
私の母:「そうなの?それじゃあ、ちょっと母の様子を見つつ、考えてみるね。」
よっちゃん:「また何かあったら連絡ちょうだい!私も時間ある時はお母さん(秋さん)連れて、叔母さんの様子見にいくから。」
私の母:「ありがとう!喜ぶと思うわ!」
このような感じで電話を終えました。
私は電話の内容を母から聞きましたが、まだ半信半疑でした。祖母のような激しい被害妄想が治るなんてことが信じられません。
それに薬を見直しただけで治るものなのかについても疑問でした。
ただ祖母はレビー小体型認知症と呼ばれる認知症で、薬が効きすぎたり、副作用が強くでたりすることがあると聞いていたので、もしかしてという思いもありました。
私と母の願いとしては、祖母がホームで、できるだけ穏やかに暮らしてくれることだったので、入院して心穏やかに過ごせるようになる可能性があるなら3ヶ月ぐらいであれば入院させてみようかなという気持ちもあります。
私と母は話し合った結果、半年たってもホームになれないようであれば、1度入院を考えてみようという結論に達しました。
ここからあと2ヶ月半ほど様子を見ることになります。