レビー小体型認知症の祖母。
祖母の認知症の症状は徐々に進んでいき、物忘れや勘違いが多くなっていました。
しかし、なぜか電話をかける能力はそれほど衰えていませんでした。
そのおかげ、いや、そのせいで(笑)、兵庫県に住む私達家族の元には、多い時で1日に20回以上も電話がかかってきます。
(祖母が1人で暮らしている期間)
祖母には「らくらくフォン」というボタン1つで電話をかけることができる携帯電話を持たせていたのですが、祖母が被害妄想になって以来、祖母からの電話の9割以上は、私の母(祖母の娘)に対する文句の電話でした。
私の母は、祖母の家に介護に行っては、祖母の被害妄想によりケンカになり、家に帰ってきても電話で文句ばかりを言われケンカになり、精神的にも少し疲れがたまっていました。
もうこの頃は、私達家族全員が、母の携帯の着信音(祖母専用の音)がなるだけでも、少し暗い気分になるぐらい、毎日文句の電話がかかってきていました。
この日も、いつものように祖母から電話がかかってきたのですが、この時の電話の内容は「携帯電話はもういらない」という話しでした。
理由を聞くと、「携帯電話のせいで、警察沙汰になり恥をかいたから」ということでした。
以前書かせていただいたのですが、祖母は私の母(祖母の娘)と電話をすると、「実際に私の母が祖母の家に来て話をした」と勘違いすることが時々ありました。
その影響で、母と携帯で電話をしたあと、祖母の通帳が見つからなかった時に(祖母は通帳を自分で隠しては、自分で隠したことを忘れて、私の母のせいにしてしまいます)、「娘(私の母)が家に来て通帳を盗んでいった」と警察に通報してしまったことがありました。
(その時の話はこちら)
どうやら、その警察沙汰になった出来事を携帯電話のせいにしてしまったようです。
祖母:「お前(母)があんな物(携帯電話)を持たせるから、勘違いしたんじゃ。恥かかされたわ!」
私の母:「また人のせいにして!自分が通帳を隠すからやろ!通帳隠したらあかんって何度も言ってるやないの!」
祖母:「通帳は隠しとかな、誰かにとられるじゃろ!」
私の母:「誰もとらへんの!隠したら忘れるやろ?」
祖母:「あの時はたまたまじゃよ。次、ムーちゃん(私)がこっち来た時に持って帰るように言っときないよ!(言っときなさいよ!)」
こんな感じで、私が次に祖母の家に介護で帰った時に、携帯電話を持って帰ることになりました。
祖母はレビー小体型認知症の症状の1つであるパーキンソン病の症状の影響で、歩くことが大変になっていました。
私が祖母の家に行き、「携帯がないと不便やよ?家の電話(固定電話)まで歩くのは大変やろ?」と説得したのですが、「この携帯のせいで警察沙汰になった」と、言うことを聞いてくれません。
最初は、携帯電話無しでは不自由じゃないのかな?とも思いましたが、祖母は1度言い出すとこちらが何を言っても聞いてくれないこともあり、私と母は「家の電話まで行くのに、歩く練習にもなるし、携帯電話ほど何度も電話がかかってくることもなくなるだろうから、この際、1度、携帯電話なしでいってみよう!」という結論に達しました。
祖母の家の電話の近くに、私達の家の電話番号をメモして貼っておき、祖母に何度かメモの番号に電話をさせてみたのですが、ちゃんと私達の家に電話をかけることができたので、大丈夫そうでした。
私と母は、正直、祖母の電話に悩まされていたので、「携帯電話のせいにしてくれて結果的に良かったかも」と、恥ずかしながら、安易な考えを持っていました。
しかし、この安易な考えが、祖母の被害妄想の矛先をヘルパーさんに向けてしまうきっかけになってしまうことに、私と母は気づいていませんでした。
では続きは次回に。